プレスリリース

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プレスリリース

2020年

南鳥島沖の「超高濃度レアアース泥」は地球寒冷化で生まれた

南鳥島沖に眠る世界最高品位の「超高濃度レアアース泥」が,約3450万年前の南極大陸氷床の形成に伴う海洋深層海流の変化によって生成された可能性を初めて示しました.寒冷化により強化された深海の底層流が巨大な海山にぶつかり湧昇流を発生させ,大量の栄養塩を表層にもたらし,海山周辺で魚類が急激に増えたと考えられます.その結果,魚の骨が大量に海底に堆積し,超高濃度レアアース泥が生成しました.これは,新生代のグローバルな地球環境変動が海洋のダイナミクスを通じて海底に有用元素の濃集を引き起こしたことを明らかにした,画期的な研究成果といえます.

Ohta et al. (2020) Scientific Reports 10, 9896. 


   




2019年

音波が映し出す南鳥島周辺のマンガンノジュールの分布

調査船上から発する音波を用いて,深海底に存在するマンガン酸化物鉱床の広域分布を可視化し,面積を算出する方法を世界で初めて確立しました.その結果,南鳥島周辺の日本の排他的経済水域 (EEZ) には,少なくとも61,200 km2 (四国と九州を足し合わせたくらいの面積) という非常に広大な範囲にマンガンノジュールが密に分布していることが明らかとなりました.

Machida et al. (2019) Marine Georesources & Geotechnology 





天体衝突イベント由来の新たなエジェクタ層を中新世の深海堆積物から発見

オスミウム同位体比などの地球化学的指標を用いて,南鳥島周辺のレアアース泥調査航海で採取された約1,160万年前の深海堆積物に天体衝突イベント由来のエジェクタ (放出物) 層が含まれていることを明らかにしました.これは,今まで知られていなかった未知の「海洋への天体衝突」の痕跡と考えられます.

Nozaki et al. (2019) Scientific Reports 9, 16111. 


 




2018年

南鳥島レアアース泥の資源分布の可視化と高効率な選鉱手法の確立に成功

南鳥島EEZの南部海域に存在するレアアース泥開発に適した有望エリアのレアアース資源分布を初めて可視化することに成功しました.特にレアアース濃度の高い泥が存在する約105 km2のエリアだけでレアアース資源量は約120万トン (酸化物換算) に達し,産業上特に重要なジスプロシウム,テルビウム,ユウロピウム,イットリウムは現在の世界消費の57年分,32年分,47年分,62年分に相当することが分かりました.さらに本研究では,レアアースの大半が含まれる生物源のリン酸カルシウム粒子 (魚類の歯や骨片など) を粒径分離によって選択的に回収し,レアアース泥中の総レアアース濃度を最大2.6倍にまで高めることにも成功しました.

Takaya et al. (2018) Scientific Reports 8, 5763.

UTokyo Focus

Scientific Reports誌 "Journal Top 100" (全分野中,閲覧数第14位)





2017年

過去の「超温暖化」を終息させたメカニズムの痕跡をインド洋の深海堆積物から発見

約5,600〜5,200万年前に繰り返し発生した急激かつ短期的な地球温暖化イベントの詳細な記録を,世界で初めてインド洋の深海堆積物から復元しました.さらに,それらの化学組成データを統計的に解析した結果,当時起こった複数の地球温暖化イベントにおいて,海洋表層の生物生産が増大して大気-海洋系から余剰な二酸化炭素を除去する「地球システムの負のフィードバック」と呼ばれるメカニズムが機能し,温暖化を終息させていた証拠を示しました.

Yasukawa et al. (2017) Scientific Reports 7, 11304.

UTokyo Focus


 




2016年

南鳥島沖の排他的経済水域内の深海底に広大なマンガンノジュール密集域を発見

船上からの音響調査と有人潜水調査船「しんかい6500」を用いた潜航調査を組み合わせて,コバルトやニッケルなどのレアメタルに富むマンガンノジュールの密集域が南鳥島EEZ内の広い範囲に存在することを明らかにしました.日本のEEZ内で広大なマンガンノジュールの密集域が見つかったのは初めてです.本研究により,音波の反射強度調査が効率的かつ安価にマンガンノジュールの分布を把握するための有効な探査手法であることが分かりました.

Machida et al. (2016) Geochemical Journal 50, 539-555.

Nakamura et al. (2016) Geochemical Journal 50, 605-619.


 




深海底のレアアース資源の生成条件を新たなデータ科学的手法により解明

太平洋とインド洋の広範囲をカバーする101地点・3968の深海堆積物試料の化学組成データを独立成分分析と呼ばれる多変量解析手法により解析し,レアアース泥の生成と密接に関連しているのは「海底から噴出する熱水に由来する鉄酸化水酸化物」「海水からゆっくりと沈積するマンガン酸化物」「海洋脊椎動物の歯や骨を構成するリン酸カルシウム」という3つの成分であることを見出しました.さらに,これらの成分が十分にレアアースを濃集するためには,100万年に0.5 m程度しか海底に物質が降り積もらないという共通の環境条件が必要であることも見積もられました.

Yasukawa et al. (2016) Scientific Reports 6, 29603.

UTokyo Focus

Scientific Reports誌 "Editor's choice" に選出


 




有用金属元素を高濃度で含む硫化物チムニーが短期間で成長 ー人工熱水噴出孔を利用した黒鉱養殖プロジェクトの本格開始ー

地球深部探査船「ちきゅう」が沖縄トラフで行った海底掘削により,複数の人工熱水噴出孔が形成されました.その後の調査により,掘削からわずか2年程度で,銅・鉛・亜鉛などの有用金属元素に富んだ「チムニー」と呼ばれる煙突状の鉱物資源が海底から15 mもの高さまで成長したことが明らかになりました.この成果は,熱水活動域の海底掘削により,人工的に有用金属資源を創り出せる可能性を示しています.

Nozaki et al. (2016) Scientific Reports 6, 22163.

UTokyo Focus


 




2013年

ジュラ紀後期のグローバルな無酸素海洋の発達による大規模な海底熱水硫化物鉱床と石油鉱床の生成と保存

Re-Os放射年代を用いて,日本列島の三波川帯に大量に分布する別子型銅鉱床群がジュラ紀後期の約1億5千万年前に生成したことを明らかにしました.このことは,中央海嶺の極めて活発な火山・熱水活動が,大規模な海底熱水硫化物鉱床の生成および大気中の二酸化炭素濃度の上昇 → 極域の氷床の消滅 → 海洋大循環の停止 → グローバルな無酸素海洋の発達 → 海底熱水硫化物鉱床と石油鉱床の保存,という一連の地質現象を引き起こしたことを示唆しており,地球の資源の生成と過去の海洋環境の変遷が密接に関連していることを解明した画期的な研究成果です.

Nozaki et al. (2013) Scientific Reports 3, 1889.


 




南鳥島沖で世界最高濃度のレアアース泥を発見

南鳥島周辺の日本の排他的経済水域 (EEZ) 内で,海底下3 m付近に総レアアース濃度が最高6,500 ppmを超える「超高濃度レアアース泥」を発見しました.これは世界最高濃度のレアアース泥であり,産業上特に重要な重レアアース (ジスプロシウム,テルビウムなど) を中国の陸上鉱床の最大20倍以上含むことから,日本が独自に開発可能なレアアース資源として極めて有望であると考えられます.

Iijima et al. (2016) Geochemical Journal 50, 557-573.


 


2011年

全く新しいタイプのレアアースの大鉱床を太平洋で発見

南東太平洋や中央太平洋に高品位のレアアースを含有した「レアアース泥」が膨大な量分布していることを発見しました.このレアアース泥は,(1) レアアース (特に産業上重要な重レアアース) の含有量が高いこと,(2) 資源量が膨大で陸上埋蔵量の約1,000倍に上ること,(3) 探査が比較的容易であること,(4) 開発の障害となるウランやトリウムなどの放射性元素をほとんど含まないこと,(5) 常温の薄い酸でレアアースのほとんどを容易に抽出できることなど,まさに夢のような海底鉱物資源であり,世界のレアアース資源問題を解決に導く可能性がある極めて重要な研究成果です.

Kato et al. (2011) Nature Geoscience 4, 535-539. 

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